症例の紹介

症例の紹介

腰椎椎間板ヘルニア

「腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)」に対する鍼灸治療は、神経圧迫による痛み・しびれ・筋緊張を和らげ、血流改善と自己治癒力の促進を目的として行われます。
以下に、臨床でよく用いられる治療方針と具体的な経穴例をまとめます。


🩺【腰椎椎間板ヘルニアの鍼灸治療方針】

① 治療目標

  1. 坐骨神経痛・腰痛・下肢のしびれを軽減

  2. 腰背部および下肢の筋緊張緩和

  3. 腰椎周囲の血流・気血循環を改善

  4. 神経根の圧迫による炎症を鎮静化


🌿【治療の流れ】

🔹1. 評価

  • 痛みの部位(腰・臀部・大腿後面・下腿外側など)

  • しびれの範囲(L4〜S1神経支配領域)

  • 体位変化による症状の変化(前屈で悪化など)

  • 脈診・舌診・姿勢・歩行状態を確認


🔹2. 主な取穴(局所+遠隔)

【局所穴】

  • 腰部:腎兪(BL23)・大腸兪(BL25)・関元兪(BL26)・環跳(GB30)

  • 下肢:承扶(BL36)・殷門(BL37)・委中(BL40)・承山(BL57)・崑崙(BL60)

👉 坐骨神経走行上に沿って選穴し、神経根の興奮鎮静+筋緊張緩和を図ります。

【遠隔穴】

  • 腰痛点(手背:第2・3・4・5中手骨間)

  • 陽陵泉(GB34)・太谿(KI3)・足三里(ST36)

  • 志室(BL52):腎の機能を補う目的


🔹3. 手技のポイント

  • 置鍼 15〜20分前後

  • 腰部・下肢の経筋を緩めるため、**雀啄や低周波鍼通電(2〜4Hz)**も有効

  • 強刺激よりも「心地よい響き」を重視

  • 慢性期は**温灸(知熱灸・温筒灸)**で補助


🔹4. 補助療法

  • 鍼後に軽いストレッチや温罨法を行う

  • 冷え・湿気・長時間座位を避ける生活指導

  • 必要に応じて**漢方(独活寄生湯・疎経活血湯など)**併用


💡【治療頻度と経過】

  • 急性期:週2〜3回(疼痛軽減を目的)

  • 慢性期:週1回程度(再発予防・体質改善)

  • 通常、3〜5回で症状の変化が見え始め、8〜10回で安定